宝塚大劇場公演「はいからさんが通る」

"満開の拍手に迎えられ、華々しく再出発"

宝塚歌劇団の大劇場再開公演花組「〜ミュージカル浪漫〜はいからさんが通る」(7月23日、宝塚大劇場にて所見、大和和紀原作、小柳菜穂子脚本、演出)。

新型コロナウイルスの感染拡大防止により4ヶ月程公演中止を余儀なくされていた宝塚歌劇団がこのほど公演を再開した。本拠地再開1作目は、トップスター柚香光とトップ娘役華優希の花組新トップコンビ大劇場お披露目公演でもある「はいからさんが通る」。人気漫画の舞台版で、2017年に梅田芸術劇場ドラマシティで同コンビで上演された作品をトップコンビになって再び大劇場公演として再演。

大正浪漫華やかなりし東京を舞台に、眉目秀麗で笑い上戸な陸軍少尉・伊集院忍と、はいからさんと呼ばれる快活な女学生・花村紅緒が繰り広げる波乱万丈の恋物語。少尉とはいからさんが、様々な事件に巻き込まれながら愛を見つけに行く。

見目麗しいブロンドの髪をなびかせ、漫画の世界から飛び出してきたかのような柚香光、おてんばではいからな女学生を好演した華優希を筆頭に、初演時は現月組の鳳月杏が演じた青江冬星をまた違った角度から笑いを取りながら演じた瀬戸かずや、初演と同じく鬼島森吾を演じた水美舞斗は力強さと色気を増して魅力的に表現。
雪組から2年半ぶりに帰ってきた朝月希和は花乃屋吉次で、同じく雪組から組替えしてきた永久輝せあは伊集院忍の学友で作家の高屋敷要で、それぞれ新しい風を吹かせた。
華族出身ながら、はいからさんと仲のいい北小路環を持ち前の歌声と淑やかさで難なく演じた音くり寿、初演から引き続き藤枝蘭丸を演じた聖乃あすかは男役としての魅力もさることながら、更に艶やかに女形を演じきった。
伊集院の祖父である伊集院伯爵は専科の英真なおき。威厳がありながらも茶目っ気たっぷりの伯爵は見事。仲良し夫婦の伊集院伯爵夫人を演じたのは同じく専科の美穂圭子。歌劇団随一の歌声を余すことなく披露。美しく品がありながらも可愛らしい女性姿を好演。

最前列は販売中止、その他の列も1席おきの販売となり、最大観客数の半分以下での上演となったが、熱心なファンらのいつもにも増した拍手で、作品を盛り上げた。
また、大劇場入口では検温とともにアルコール消毒が必須となり、劇場施設内各所にアルコール消毒液が設置された。また劇場内のショップのレジなどには、ショップ内の雰囲気に合わせた飛沫防止ボードが新しく作られ、設置されるなど、感染症対策は万全。その他、入場待機列やトイレの待機列はソーシャルディスタンスを保てるように床に張り紙もあった。更に、入場時の従業員との接触を防ぐため、観客自らがチケットや公式ファンクラブ会員証をかざして入場。十分すぎるほどの対策であった。

2020/7/23(木) こより